なぜ、チークだったのか。木製カトラリーの素材選び

食事のたびに、何気なく手にするカトラリー。
AMANEの木製カトラリーについて、こんな質問をいただくことがあります。
「チークは高級な木だから選んでいるのですか?」
もちろん、それも理由のひとつです。でも、最初からチークを使おうと決めていたわけではありません。
始まりにあったのは、**「この繊細なデザインを形にしたい」**という想いでした。
理想の形をつくれる工場を探し、素材を試し、ものづくりを続けられる人と出会う。その過程を重ねた先にたどり着いたのが、チークという素材です。
チークにたどり着くまでには、素材だけではない、出会いと選択がありました。
この形を、どうしたらつくれるだろう。

このカトラリーは、「チークを使いたい」という発想から始まった商品ではありません。
最初にあったのは、繊細なデザインをきちんと形にすることでした。
日本でも技術的につくれる工場はありましたが、その方法では価格が高くなりすぎてしまう。
「手に取りやすい価格」と「デザインの再現性」。その両方を叶えられる場所を求めて、日本、中国、インドネシアと工場を探し続けました。
それでもなかなか答えは見つからず、一度は諦めかけたこともあります。
一枚の名刺から、タイへ。
「もう難しいかもしれない。」
そう思ったとき、ふと思い出したのが、以前展示会で名刺交換をしていたタイの木工メーカーでした。

思い切って連絡すると、「一緒にやってみよう」と快く引き受けてくれました。
その木工メーカーは、もともとカトラリーの製作も行っていたため、こちらの希望を理解してもらいやすい環境でした。さらに、社長の奥様が日本人だったこともあり、お互いの考えを丁寧に伝え合うことができました。
そうして、少しずつ理想のカトラリーづくりが始まりました。

それから10年以上。
今でも変わらず、一緒にものづくりを続けている大切なパートナーです。
その土地の木を、その土地で加工する。

タイで製造するなら、木材もタイで育ったものを使いたい。
輸送による環境負荷をできるだけ抑え、その土地にある素材を生かしてものづくりをする。そんな考えから、タイの木工メーカーが扱う素材の中で検討を重ねました。
候補に挙がったのは、チークとココナッツ材。
実際に両方の素材でサンプルを製作したところ、ココナッツ材は木目が力強く、個性的な表情が魅力的でした。一方で、今回のカトラリーでは、デザインそのものより素材の印象が前に出てしまいました。
チークは木目がやさしく、繊細な形を邪魔せず、どんな食卓にも自然になじみました。
さらに、高級家具にも使われるほど耐久性に優れ、油分を多く含むため水にも強いという特徴があります。
タイでは植林されたチーク材が使われており、カトラリーのような小さな製品には、間伐などで生まれる小径木を活用することもできます。
デザイン、使い心地、そして環境への配慮。
AMANEの木製カトラリーは、使ってくださった方とのご縁を通して、少しずつ広がってきました。
インテリアショップで手に取っていただいたり、レストランで実際に使っていただいたり。今では、星付きレストランでも採用していただいています。
「以前使って、とても良かったから。」
そんな一言から、新しいご縁につながることもあります。
ものづくりは、形を考えるだけではありません。
どこでつくるのか。誰とつくるのか。そして、どんな素材を選ぶのか。
ひとつひとつに理由を持ちながら、使う人の暮らしを想像して形にしていく。
これからもAMANEは、そんなものづくりを続けていきたいと思っています。

